出版翻訳の舞台裏

2017年7月 4日 (火)

英訳コーディネーター修行

13年前、翻訳や編集の知識などほとんどないままこの世界に飛び込みました。最初の数カ月、もしかしたら1年くらいは、自分が何をすればいいのか、どの過程ではどういうことが起きえるのかわからないまま、ただひたすらにスケジュールを立て(読みが甘いため、往々にして崩れる)、毎日届くリーディングレジュメや翻訳原稿を読みまくっていました。

学校の作文では句点を打ってから閉じかっこだったのに、逆だと言われたり、はたまた閉じかっこのあとは句点不要の案件もあったり。リーダーやダッシュは2字分だし、?や!のあとは1字アケなければいけない……。今となっては呼吸レベルで当たり前のことを一つ一つ覚え、編集者さんの赤やフィードバックから必死に盗み取り、10年が経ち、300冊の担当書籍が世に出る頃には、「何が来たってどうにかできる」と思えるくらいになっていました。

ところがその頃、私はまたもやド新人に戻ってしまいました。内閣府主導で日本の書籍を英訳するプロジェクトが始まり、弊社にもお声がけいただいたのです。

和訳であれば、いただいた原稿を拝見していると、反射のようにチェック機能が作動しますが、英訳ではそうはいきません。久しぶりに「届いた原稿を前に何をどうすべきなのかわからない」状態に放り込まれました。

このプロジェクトでは、私のもとに届く原稿は、経験豊富な訳者さん、2人のチェッカーさん、さらには編集者さんの手が入ったものなので、私の出る幕などなし……。最初のうちはそう思っていました。が、担当させていただいたタイトルを仕上げていく段階でさまざまな要修正ポイントが見つかり、何度も血の気が引き、呆然としました。

英語書籍には、正しいパンクチュエーション、字下げのルール、参考文献の書き方、註の入れ方など、日本語書籍よりはるかに細かく、膨大な決まりがあり、さらには英語と米語でルールが違ったりもします。そして、日本語からの英訳の場合、一般的な英語書籍のルールではカバーしきれないものも出てきますので、タイトルごとにその特性を踏まえて、どのルールを採用するのか、しないのか、例外にはどう対応するのかを、最初の段階である程度決めておかないと、完成したはずの原稿全文を頭からお尻まで読み直し、整える羽目になります。

例えばDavidをカタカナ表記にする場合、さまざまなパターンが考えられますが、それと同様、日本語をローマ字表記にする方法もいろいろあります。例えば「おおの」さん。一番シンプルに書けばOno(「おの」さんと見分けがつかないという難点あり)、マクロンを使うならŌno、さらにはOhno、Oonoと書くこともできます。「しんいちろう」さんも、ShinichiroでOKとするケースと、Shin'ichiroにしなければいけないケースがあります。「新聞」も、ShinbunなのかShimbunなのか……(私は後者の方がなじみがあるのですが、最近は前者の書き方がメジャーになってきているそうです)。人名の書き方も、英文の中では西洋式に名・姓にするものだと信じて疑っていなかったのですが、「源頼朝」の「の」はどうする? と言われてフリーズ。近頃、特に学術書では、その人物の出身国での表記順を採用するというのが主流になっていることを知りました。

そして、一番頭がこんがらがるのがカタカナ語のローマ字表記です。

日本語書籍のタイトルなどにカタカナ語が使われている場合、それは原語のスペルではなくローマ字にしなければいけないのですが、aidenteitei(aidentiti)やpaatonaashippu(patonashippu)など、一見しただけでは読み取れず、自分でローマ字にした場合はそれが合っているのかも自信がなく、じーーーっと1文字ずつ追ってしまいます。英語読者に対して、果たしてこんな表記が必要なのだろうか、と思ってしまいますが、ローマ字の中に英語のスペルが混ざっていると、それはそれで混乱するのかもしれません。反対に、SuhartoとSuharutoでは違いが微妙すぎて、先日、本当に入稿ギリギリでローマ字表記にはuを1つ足さなければいけないことに気づき、大慌てで修正しました。

そんな英訳格闘生活も4年目を迎え、最初に押さえておくべきこと、各段階で注意すべきこともだいぶ見えてきましたが、和訳に比べると準備力・対応力ともにまだまだです。1冊ずつ勉強させていただきながら、いつか和訳と同じレベルで英訳もコーディネートできるように、頑張っていこうと思います。

コーディネーター中原wave

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2016年3月 3日 (木)

お散歩コース

怒涛の1、2月が過ぎて、3月初日はお休みをいただき、私用を片付けつつ近所を散歩してきました。

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今の部屋の何よりのお気に入りポイントは、このエリアまで歩いてこられることかもしれません。 横浜・みなとみらいエリアは高校時代からの庭ですが、特に、晴れた日の大桟橋が大好きです。

普段は数十センチほどの距離にあるモニターを見つめているだけで1日が終わってしまうので、ときどきこうして遠くを眺めるととても気持ちがいいですし、目の凝りもほぐれます。そして、モニターくらいの距離を見ている分には気づかないのですが、自分の視力が落ちてきていることも実感できます……。

子供の頃は、みんなが走り回っているのを尻目に、一人寝転がって空を眺めたりしていました。思い返してみれば、大学時代もしょっちゅう芝生の上でゴロゴロしていました。最近は、昼間にゆっくり空を見上げることなど年に1、2回あるかないかになってしまった気がしますが、青空(白い雲が浮かんでいるとなおよし)を眺めていると、普段は轟音を立てて流れている時間が、ふと静かに、ゆっくりになるような気がします。

毎日一定ペースで飛ばしていたほうが楽なのも事実なのですが、ときどきはこうしてペースを落とすと、物理的にも精神的にも視野が広がっていいですね。

素敵な休日を過ごしたので、3月もまた頑張りますsun
(花粉にやられがちではありますが……。花粉症仲間の皆さん、梅雨まで頑張りましょう!)

トランネット中原

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2015年7月 9日 (木)

梅雨明けを待ちながら

例年通りに明けるならば、関東地方の梅雨もあと10日ほど。子供の頃は大嫌いだった梅雨ですが、いつの頃からか、部屋の中にいる自分が雨のベールに守られているようで、この季節が好きになりました。そして、雨の休日は読書や映画鑑賞にはうってつけ。今日は、最近読んで衝撃を受けた本と、お気に入りの映画をご紹介したいと思います。

衝撃を受けたのは瀬戸内寂聴さんの『烈しい生と美しい死を』。『青鞜』を作った平塚らいてうと、それを引き継いだ(というより奪い取った?)伊藤野枝をメインに、100年前の日本で自らの生き方を貫くために戦っていた女性たちの物語と、寂聴さんの随筆が絶妙なバランスで織り交ぜられています。

お恥ずかしながら、この時代の女性活動家のことをあまりよく知らなかったもので、彼女たちの自由奔放さや行動力にただただ呆然としながら読み進め、読了後に頭に浮かんだ感想は「今よりよっぽどぶっ飛んでる」でした。

もちろん、彼女たちはあの時代にあってかなり特殊な、浮いた存在だったでしょうし、大部分の女性にとって「自由」の範囲は現代よりずっと制限されていたのだと思います。確かに、この数十年で女性の社会進出は進み、女性にとって「当たり前のこと」の範囲は広がったかもしれません。が、それが女性の本当の意味での自由度とイコールかといわれると、それは違うのかもしれない、と思わされる作品でした。

次は、大のお気に入りのインド映画マダム・イン・ニューヨーク』です。

インド映画は苦手なのですが(なんで、何が何でも踊ろうとするんでしょう……)、この作品には一目惚れしてしまい、何度も見返しています。

英語ができないがために家族からバカにされていた母親が、姪の結婚式のために行ったNYでこっそり英語学校に通い、英語力を身に着けるとともにプライドを取り戻していく、という物語です。

家族のためを思って一生懸命やっているのに夫にも娘にも軽んじられる苛立ち、言葉のわからない国に一人放り出された不安、その中で何か一つできるようになるたびにウキウキする気持ち。主人公シャシの笑顔が増えていくたびに、こちらも楽しくなってきます。英語学校の先生やクラスメートたちもそれぞれ個性的で、見ていて飽きません。

そして、なんといってもシャシ役のシュリデヴィが驚くほど綺麗なんです! インドではとても有名な女優&ダンサーで、15年ぶりくらいの復帰作だったらしいのですが、公開時で49歳というのが信じられない美しさ。ストーリーがどうあれ、彼女が出ている限りいくらでも見ていられた気がするほどです。

苛立ち、不安、悲しみ、とまどい、迷い、後悔……いろんな感情を通り抜けて、最後にはとても誇らしく、幸せな気持ちになれる作品なので、梅雨のジメジメも吹き飛ぶと思います。よろしければ、是非。

中原

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2013年11月11日 (月)

機械翻訳/自動翻訳の精度は…?

10年近く翻訳コーディネーターをやってきて、最近の傾向として特に思うのが、とにかく翻訳期間がパツパツだということ。もちろん、この10年で出版界の状況は大きく変わりましたし、出版社さん側にも事情はありますから、私たちもご希望にそえるよう、精一杯頑張るしかないのですが……いかんせん慌ただしい。翻訳をお願いしている皆さんにもいつも無理させてしまい、申し訳ない限りです。

そこでときどき思うのが、機械翻訳をもっと使えればいいのに、ということ。原文を入れたらまぁまぁの精度の日本語で出してくれて、あとはそれを原文に沿って修正、味付けして、はい完成! とできたら、どれだけ楽でしょう。

産業翻訳の世界では、実際そのような流れでお仕事することも多いでしょうし、出版コンテンツも機械で粗訳している、という方もいると思いますが、個人的にはちょっと前まで「そんなの夢物語だ」と思っていました。少なくとも、私が死ぬまでには実現しないだろうと。

有料の翻訳ソフトは使ったことがなく、お世話になるのは無料の翻訳サイトくらいだったというのも理由のひとつだと思います。ところが最近、そうした翻訳サイトですら精度が急激に上がってきているように感じるのです。5年以内には状況が激変するかもしれません。

ためしに、友人がSNSに投稿した文章を、いくつかの翻訳サイトに入れてみました。ちなみにこの友人は、趣味で小さな飛行機を操縦します。

【原文】
Nach 5 Monaten Winterpause endlich wieder in der Luft
(ドイツ語)

【Google翻訳】
和訳:冬休みの5ヶ月後、私たちは空気中に戻っています
英訳:After 5 months of winter break we are back in the air

【excite翻訳】
和訳:5か月の冬休止の後に最後に再び空気中に
英訳:After 5 months of winter-pause finally again in the air

【Yahoo翻訳】
和訳:最後に再び空気の5ヵ月の冬の中断の後
(Yahooは、ドイツ語から英語への翻訳はしてくれないのか、設定できませんでした)

もちろん、この一例だけで決めつけるわけにはいきませんが、各サイトの精度の違い、和訳と英訳の精度の違いがけっこうくっきり出ますね。

みんなどこかしら「難あり」ではありますが、友人が飛行機を操縦するという前提や、その他の生活パターンを知っていれば、だいたい意味は取れます。当然、そのまま「商品」になるレベルではありませんが、SNS程度のことであれば、これでどうにかなるでしょう。

ちょっと前までは、外国語を和訳するとまず間違いなく上記のYahoo翻訳のような精度で出てきたので、「面白い」を通り越して「意味不明」だったのですが、このところ、サイトによっては「なんとなくわかる」レベルで出してくれます。どこをどう誤訳するのかを見るのも、なかなか楽しいものです(「そう読めるのか!」という発見が満載です)。

ここ数年の翻訳サイトのこのような進歩を考えると、近いうちに下訳レベルの訳は出してくれるようになるのではないか、という期待と恐怖を感じます。「期待」は、翻訳作業が楽になるかもしれないことに対して、「恐怖」は、翻訳に人力が必要なくなるかもしれないことに対してです。

が、後者については、私はまだ、恐怖10%、安心90%です。機械翻訳には、バリエーションがないからです。機械翻訳はプログラムに沿ってインプット/アウトプットをしているだけで、プログラムを変えない限り、同じ原文を入れれば、100回でも200回でも同じ訳を出します。原書全体のトーンに合わせて訳したり、話者の年齢や性別、その他特徴を踏まえてセリフの訳に変化をつけたりすることはできません。

機械翻訳が人間の表現力を身に着けるには、まだまだ時間がかかる。こう考えると、機械翻訳への「期待」のほうが、俄然高まります。裏を返せば、人間の武器は「表現力」に尽きるといえるかもしれまえせん。

機械が「ざっとした言語の置き換え」はやってくれて(用語の訳揺れも防げそうです!)、人間の翻訳者は、その訳をチェック/修正しつつ、表現の部分に力を注ぐ。そんな日がくるかなぁ、きてくれるといいなぁ、と思う今日この頃です。

snowコーディネーター中原snow

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2013年3月 8日 (金)

冬の癒しは…

皆様、大変お久しぶりです。

前回のブログでは昨年のロンドンブックフェアの様子をお伝えしましたが、早くも次のロンドンブックフェアが来月に迫っています。今回は営業チームから2人参加しますので、また戻り次第、HPでレポート等ご覧いただければと思いますairplane


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さてさて、今週に入って急に暖かくなってきましたね。春が近づき、植物が色づいてくるとワクワクしますが、私にとっては寂しい時期でもあります。

雪が、とけてしまう……snow

昔から「ザ・運動音痴」なのですが、スノーボードはなぜか大好きで、10年以上続けています。特にここ2、3年はせっせと山に通っているので、社内でも呆れられているかも……(笑)。

スノーボードの魅力が風を切って滑る爽快感にあるのは間違いないのですが、私がここまではまっているのは、冬山のデトックス効果のせいかもしれません。

皆さんもそうではないかと思うのですが、普段はPCとセットの生活で、視界は自分の机の上くらい(ちなみに私の席の前は壁です)。そして、ひたすら指先と頭だけを動かす日々。

それが、山に行くと真逆になります。ひろーい空や向こうの山を見ながら、頭は空っぽにして、ひたすらに体を動かす。そうすると、頭の中に詰まりに詰まった文字が抜け落ち、ほんとうにすっきりします。

だから、やめられない。
たとえ吹雪いて、リフトの上で凍りつきそうになっても、やめられないcatface

下手な写真でお恥ずかしいのですが、少しでもデトックス効果をおすそ分けできればと思いつつ、今年撮った(私のなかでの)癒しの3枚を貼ってみます。

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これは昨年末、白馬八方尾根で、リフトで上がれるところまで上がって撮りました。雲海を見下ろしたときには、別世界に来たようで思わず鳥肌が立ちました。

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これは、年明けの群馬・川場スキー場です。私が雨女(冬は吹雪女に変身)のせいか、川場でこんなに遠くまで見える日にはなかなかあたりません。空がほんとうに綺麗でした。

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全体的に真っ白で見づらいのですが、それでも今年一番のお気に入りです!

「樹氷を見に行こう!」と蔵王まで行ったのに、2月頭というベストシーズンだったのに、到着したときにはまさかの雨!!rain

樹氷はかなり残念な有様になり、「みんなわざわざこんなものを見に来るんだろうか…」と思ったのですが、その晩、軽く雪が降ったら奇跡が起きました。たった一晩で、葉を落とした木々が、枝の一本一本に綺麗に雪をまとったんですshine 樹氷エリア(山のてっぺん)よりも、むしろ下の方が綺麗で、この日はひたすら木に見惚れながら滑っていました。

冬の間はスノーボードがあるので、頭と体のスイッチ切り替えができるのですが、そろそろ雪山シーズンも終わり。夏の間のデトックス方法を考えなければ……。有力候補はSUP(stand up paddle surfing)ですwave

ひとまずその前に、残り2回のスノーボードを思いっきり楽しんできますnotes

snowコーディネーター中原snow

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2011年11月16日 (水)

フランクフルト・ブックフェア初参加!

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本当はもっと早くアップする予定だったのですが、あっという間に今年も残り1カ月半になってしまいました。鮮度は落ちてしまいましたが、まだ賞味期限ギリギリセーフと信じて、先月初参加したフランクフルト・ブックフェアの雰囲気を少しでも皆さんにおすそ分けできればと思います。

まずは、簡単にブックフェアのご説明を。

毎年10月に開催される Frankfurter Buchmesse が世界最大のブックフェア、その次が4月に開催される The London Book Fair です。このふたつには、世界中の出版社の版権担当者や翻訳権エージェントが集まってきます。以前はアメリカで開催される BookExpo America も盛況だったようですが、最近では規模が縮小してしまい、翻訳権のやり取りはあまりされなくなってきたそうです。

今回一緒に行ったのは、フランクフルト9回目(確か)の営業部長。「とにかく広いよ、歩くよ」とは言われていたので、歩きやすい靴も入手し、いざ突撃!

と、気合い十分でドイツ入りしたのですが、ドイツはなんとも静かでのんびりしており、普段、東京や横浜で人にまみれて生活している私は、なんだかいきなり癒されてしまいました。だって、毎朝こんな景色が眺められるんです……。一日中ここでボーっとできそう。(ホテルの最寄り、Oberursel-Stierstadt駅前)

Oberurselstierstadt_2

いや、いかん! 私は休暇にきているわけじゃない! お仕事しなければ! と気合いを入れ直し、ブックフェア会場へ。

会場は建物を7つも使った広大なもの。敷地内にはシャトルバスが走っているほどです。初参加の身としては、あっちもこっちも気になりますが、まずは、英語圏の出版社が集まる8号館へ直行です。海外のタイトルを仕入れる立場としては、ここがメイン会場となります。(広すぎて会場の全体像がうまく写真に撮れなかったので、MAP画像を入れます)

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ドーンと開けた空間と、ブースの並び方などは、東京ブックフェアとほとんど同じですが、空気はまったく違いました。大手のブースでは、途切れることなく、席が空くこともほとんどなく、ひたすらにミーティングが行われており、入り込む余地もありません。ビビった私は、ブースのまわりに展示されているタイトルを眺めながら退散。ビッグタイトルは翻訳権エージェントさんが押さえているし、私たちはもっと小粒でも光るものを探すんだ! と自分に言い訳をし、ひたすらに歩き回りました。ちなみに、HarperCollins のブースはこんな感じでした。

Harpercollins_3

会場の中心部に、このような何区画も使った大手のブースがあり、その周辺に1、2区画サイズの小さなブースがずらっと並んでいます。各ブースにはたいてい担当者が座っているので、面白そうなタイトルがあると声をかけ、日本での翻訳権が空いているかどうか聞いてまわるわけですが、アポがないと対応してくれない人、こちらが話しかける前に「良かったら説明しますよ」とにこやかに声をかけてくれる人、「私、毎年ここにいるけど、もううんざりしてるの。疲れたわ」という顔で座ってる人(なんだか気の毒なくらいで、声かけづらい)、実にいろいろです。

それにしても不思議なのは、この会場内にはとんでもない数の本があるのに、「日本でも出版してほしい!」と思えるものが案外少ないこと。「日本にはない内容・切り口」で、かつ「日本人が興味をもつもの」を探すわけですが、このふたつを満たすのが本当に難しい! 「こういう本は見たことあるなぁ」というものや、「これは日本人にはわからない、面白くない」と感じられるものが大半。また、「自分の好み」というフィルターを極力排除するのもなかなか大変でした。

一つひとつのブースをじっくり見て歩く時間的余裕はないので、歩き回りながら表紙のイメージとタイトルだけ見て直感で選ぶ、もしくは、カタログをもって帰って夜ホテルでチェックし、次の日、目を付けたタイトルをリクエストにいく。期間中、これをひたすら繰り返しました。これ以外に、小社が以前からお付き合いのある出版社、エージェントとミーティングをし、お勧めのタイトルや新しいタイトルを直接紹介してもらったりもします。

会場の別の建物内にはエージェントセンターという場所もあります。ここには出版社ではなく、各国のエージェントが集まっていて、具体的に翻訳権の売買を進めていたり、さまざまなミーティングが開かれていたりします。ここもまた、かなりのスペースでした。

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こうして集めてきたタイトルの概要を、今、何名かの会員さんに作成していただいています。まずは、この概要をもって小社の営業メンバーが各出版社さんに売り込みにいき、翻訳権を取るかどうかを判断するに際してもう少し詳細な情報が必要となると、今度は会員さんにリーディングレジュメを作成していただきます。そして、晴れて翻訳権の契約がまとまると、オーディションにかけたり、トライアルをしたりして、皆さんに翻訳していただけるチャンスにつながる、というわけです。

今回も200近いタイトルを取り寄せています。これがひとつでも多く皆さんのチャンスにつながるよう、スタッフ全員で頑張ります!

maple以下、おまけmaple

今回、この方絡みのタイトルは取りあいだったことでしょう……。

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そして、Haruki Murakami の海外での知名度の高さを、初めて肌で感じました。上がイタリア語版、、下がドイツ語版です。どちらも大きく展示されていました。

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8号館以外の会場では、いたるところでこのようなトークセッションも開かれていました。(8号館は「翻訳権の売買」というビジネス色が強いので、他の会場に比べて空気がやや殺気立っているように感じました。ときどき、英語圏以外の出版社が集まっている5、6号館や、ドイツの出版社がいる3、4号館などに行くと、空気がやわらかくてホッとしました。)

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今回、部長と私ふたりして「これやりたい!」と盛り上がったのが下のタイトルなのですが、残念ながら既に契約が進んでいるようでした。数カ月後、日本の書店に並んでいたら手に取ってみてください。イルカ好きとしては許しがたいタイトルですが(笑)、内容はかなり面白かったです。

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appleコーディネーター中原apple


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2010年11月22日 (月)

夜型人間の懺悔

気がつけば街中はクリスマスデコレーションでいっぱいになり、年末ムードが漂い始めましたね。前回ブログを担当したときは、ワールドカップの熱狂の中にいたのに、あっという間に寒くなってしまい、驚いていますcoldsweats02

体調管理が難しい時期ですので、皆さんどうぞご自愛くださいclover

さて、突然ですが、皆さんは朝型ですか? 夜型ですか?

私は、学生時代からの筋金入りの夜型なのですが、最近、その悪癖がまたひどくなってしまいました。特に、原稿チェックなど集中を要する仕事は、夜になってしまうことが多く、おかしな時間にメールをお送してしまうこともあり、皆さんにご迷惑・ご心配をおかけしております。申し訳ございません。

ときどき「私の訳文のせいで遅くなったのでは?」とご心配いただくことがあるのですが、そういうことは皆無です。すべて私のタイムマネジメント力のせいなので、私から予想外の時間にメールが入っていたときには、「中原夜型だからな…」と思い、ご容赦いただければ幸いです。

それにしても、昼間は明るくていろいろなものが見えてしまうし、五感に入ってくる情報が多すぎるsign01と思うのですが、いかがでしょうか? 朝型もしくは昼型の方には、それらをシャットアウトするコツがあるのでしょうか?

個人的には、勉強、読書、その他じっと座って集中したいものをやるには世の中が寝静まった「丑三つ時」がベストsign03なのですが、社会人としては褒められたことではありませんねsweat01 しかも、「朝型」を勧める書籍は数多あるものの、「夜型」については、推奨するどころか擁護するものすら見当たらず、やはり、身体面でも「朝型」にしたほうがいいのかなぁ、とも思います。

会社の就業時間が22~6時(私のゴールデンタイムshine)だといいなぁ、と思ってしまうような私には、「朝型」へのハードルは高く、多く、スタートラインに立つ根性もなかなかわいてきませんが、少なくとも、皆さんにご迷惑・ご心配をかけないようにしなければ……と思っていたところへ、友人からアドバイスが。

「海外に移住して日本と仕事すればいいんだよ」

なるほどflair 日本との時差が12時間の場所はどこだsign02

アメリカ東海岸との時差を考えると、一瞬「それって大西洋の上なんじゃ……」と思いましたが、違いました。

ブラジルやアルゼンチンは時差12時間airplane

そういえば、昔から日本の真裏はブラジルだと教えられていましたね。ブラジルに行けば、日本の一般的な就業時間に絶好調で作業できるなぁ……。

と、しばし妄想および現実逃避に走ったものの、これではまったく問題は解決しませんweep

よくよく反省し、皆さんへのご連絡は常識的な時間、もしくは逆に、「超朝型sign02」と思っていただけるような時間にいたしますので、今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。

もちろん、皆さんからのメールは、24時間いつお送りいただいてもまったく問題ございませんので、朝型、昼型、夜型それぞれの絶好調時間にご作業すすめていただければと思いますhappy01

danger最後に一つ、お願いですdanger

PCから携帯へメール転送設定をされていることを存じ上げている方には、間違ってもビックリするような時間にメールしないよう気をつけているのですが、私が設定を存じ上げず、驚かせてしまっている方がいるかもしれません。

そのような方がいらっしゃいましたら、ご一報いただけますようお願いいたします。

appleコーディネーター中原apple

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2010年6月30日 (水)

また4年後に…

昨晩サッカーをご覧になった方、お疲れさまでした&残念でした。

サッカーには興味のない方、ご近所さんがうるさかったとしても、どうぞ許してあげてください。

それにしても、終わってしまったんですね、日本代表のワールドカップは・・・。昨日は120分間+α、大変でした。何度も祈りのポーズをとり、「こいっ!!!」 「危ないっ!!!」 「頼むぅぅぅ!!!」 と叫びまくり、延長に入ってからは正座、PKになってからはドキドキしすぎて座っていることもできず、立ち上がって応援してました。(そして、飛び上がった次の瞬間、ソファーにお尻を強打impact

試合が決まったときは、脱力して呆然としてしまいましたが、今大会、日本代表が4試合できるなんて思っていなかったので、最後は温かい気持ちでいっぱいでした。

まぁ・・・ここで満足できてしまうところが、今の日本の限界という気もしますが。 「優勝以外は負け」 というモチベーションで大会に臨むチームとは、やっぱりそこからして差がありますね。岡田監督が記者会見で 「わたしの執着心と執念が足りなかった」 と言っていましたが、これは、現代日本人に広く蔓延している弱点だと思いました。

しかし、4年前のワールドカップが終ったときとは比べ物にならないほどの爽快感です。 あのときは、「この4年間はなかったことにしたい・・・」 としか思えませんでした(ジーコファンの方、すみません)。今は、4年間頑張った選手・監督・スタッフを称えるとともに、次の4年間がとても楽しみです。

そして、日本代表が脱落した今、心臓が痛くなるほどの緊張をすることもなく、芸術的かつ神業的な異次元サッカーを気楽に楽しめるのが少し嬉しいですcoldsweats01

と・・・サッカー話は尽きないのですが、このあたりで自粛しまして、今回気になったことをいくつか。

flairサッカー界での公用語は何語なのか。

ずっと謎だったのですが、レフリーと選手たちは何語で話しているのでしょう・・・? やはり英語なのでしょうか? 勝ち残っているチームや、今のサッカー界の勢力図を考えると、スペイン語が優勢な気もするのですが。スペイン語、ポルトガル語、イタリア語は、それぞれなんとなく通じてそうですし、ピッチ上の音(声)をもっと拾ってくれたら面白いのになぁ、と思います。今回は、ブブゼラのせいで難しそうですが。

flair選手名の表記は誰が決めているのか。

ワールドカップで密かに面白いのが人名です。日本人にはなじみのない(しかも、なんとなくツボにくる)響きの名前も多いので、実況のアナウンサーが名前を連呼するたびに笑ってしまうことがあります。セルビアなどのチームは 「なんとかッチ」 率が異様に高くて、選手の名前が全然覚えられません。

そして今回、友達うちでちょっと話題になったのが、日本も対戦したカメルーン選手のETO'O。元々日本でも有名な選手だったわけですが、今大会の前まで、たいていは 「エトー」 と書かれていました。それが今回、突然 「エトオ」 という表記が大量出現。今後は 「エトオ」 がスタンダードになるのでしょうか。

今大会初ゴールを決めた南アフリカのTshabalala選手も、1試合目の実況では 「チャバララ」 だったのに、2試合目か3試合目から 「シャバララ」 と呼ばれるようになっていました。が、各WEBサイトの表記は、今さら変えられないのか 「チャバララ」 が優勢です。結局、どっちが正しいのでしょう?

ちなみに、外国人の名前が難しいのは全世界共通らしく、日本の長友選手もイタリアの中継では 「ナガモト」 と連呼され、昨日やっと訂正されたそうです(笑)。

自粛したつもりだったのですが、結局長くなってしまいましたsweat02 すみません。

ワールドカップは、世界レベルのサッカーに熱狂するとともに、実にさまざまな文化を楽しめるチャンスでもあるので、サッカーに興味のない方も、この機会にぜひご覧になってみてくださいsoccer

apple今大会のMVPはマラドーナで決まりだと思っている
  コーディネーター中原でしたapple

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2010年4月11日 (日)

リーディング担当引き継ぎます

前回、あまりの痛さに、思わずブログに腰痛ネタを書いてしまいましたところ、たくさんの方からご心配いただき、大変恐縮でしたsweat01 温かいお言葉をくださった皆さん、本当にありがとうございました。 

どうやら私は、椅子に座るときの腰の掛け方が浅いらしく、それが腰に負担をかけているようです。それで最近、自宅で長時間PCに向かうときは、椅子ではなくバランスボールの上に座っています。

こうすると、まっすぐ座っていないと安定しないので、姿勢もよくなりますし、案外楽です(疲れてきたら、その場でボヨンボヨン跳ねて、ちょっと遊ぶこともできますhappy02)。

おかげさまで、その後は痺れもなく、快調に過ごしておりますgood

皆さんも翻訳中は目・肩・腰など酷使されていることと思いますので、どうぞご自愛ください。

さて、本日は、この場を借りて一つお知らせです。

先日、私はリーディングの手配業務から離れ、小澤と渡部が全面的に担当することとなりました。

今後もときどき、私からお願いすることもあるかもしれませんが、基本的には二人から皆さんにご依頼がいくかと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

入社以来約6年担当してきたリーディング業務は、個人的にとても好きな仕事でした。

なにより、翻訳案件だけではご一緒できないくらいたくさんの会員さんとお仕事させていただけたことが楽しかったですし、「10ページのレジュメを読んだだけで、本1冊読んだ気分になれるお得感shine」もたまらなかったです。

そんなわけで、この業務を手放すのは少し淋しいのですが、今後は小澤と渡部にたくさん楽しんでもらおうと思います。

リーディングでお世話になった皆さんとは、また別の形でご一緒できる日を楽しみにしておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

appleコーディネーター中原apple

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2010年2月 8日 (月)

ありがた迷惑なプロ意識

年末くらいから、体がかなり歪んできてる自覚はあった。

前回整体に行ったのは夏ごろだったか。あのときは、股関節のズレがどうにも治らず(気合いではまるときもあるのだが、ダメだった)、しぶしぶ会社の近くの整体院に駆け込んだのだった。それから多分、半年くらい。

だんだんと、足を組まずには座っていられなくなり、変な角度じゃないと体が安定しなくなる。

そろそろまずい・・・。

わかっていながらも、「時間ないし、まだ痛くないから大丈夫」とごまかしながら年は明け、早くも2月に突入した今週末。

ついに来た。

ほぼ一日中、片膝を立てた状態でPCに向かっていたら、骨盤が完全にねじれた。腰に痛みが走り、左足がしびれだす。

これはさすがに座っていられない。仕方ない、整体に行くか・・・。

スウェットに着替え、施術開始。待ち受けていたのは、予想通りの展開。

「この腰なんですか!? うわっ、肩も!!」と、上から下まで一通り驚かれ、そして、お説教が始まる。

「なんでそんな格好で座ってたんですか! 歪んでるからまっすぐ座ってられないんですよ。これはちゃんと治さないと、年取ってからきつくなりますからね。しばらく通ってください。続けているうちに、正しいところでキープできる期間が長くなりますし、楽になりますから! 若いうちに戻しとかないと、どんどん戻りづらくなりますよ!」

以下、延々5分くらい。うんざりしてくる。

私の体が歪んでるがゆえに、あんな格好じゃないと座ってられなかったことも、整体に通えばいい状態がキープできて、痛みが出ないことも、年を取れば取るほど戻りづらくなることも、百も承知である。

わかっているのに通わないのは、毎週整体に通えるほどの時間的・経済的余裕がないこと以上に、このお説教が鬱陶しいのと、整体師さんのいい状態で体をキープすることに対する情熱についていけないから。

車に例えるなら、整体師さんは、私の体をF1マシン並みのレベルを目指して調整しようとしているように思える。でも私は、「20年前の車だけど、ちゃんと走れるから大丈夫」くらいの調整をしてほしいのである。

この溝は深い。

そのプロ意識と、 なんとか楽にしてあげよう、治してあげようという気持ちはありがたいものの、その熱さゆえに、私の足は整体から遠のく。

首も肩も腰も、目が悪いせいか、小学生のころから凝っているため、少々の肩凝り、腰の張りでは、もはや自覚症状はない。しかも、一日中PCの前にいる生活では、「肩も腰もとってもやわらかくて完璧shine」な状態など、はなから期待していない。でも、さすがに痛くなったときには、そっと優しく助けてほしいのだ。お説教抜きで。

帰り際、「次回はいつにしますか?」と当たり前のように聞かれた。また来るかどうかも決めてないのに。本心は「痛くなければもう来ません」だったが、一応、予定がよめないという理由にして予約はしてこなかった。

ところが、ずいぶん良くなったものの、腰の痛みと足のしびれがまだ微妙に残っている。

「元気に走る中古車」を目指すにしても、もう一回くらい行かないとダメかと、あの情熱と痛みのどっちを我慢するほうに天秤が傾くか、じっと様子を見守っている。

appleコーディネーター中原apple

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