« エライのは電車? 携帯電話(XXX)? それとも…… | トップページ | オオカミは「匹」か「頭」か »

2009年10月25日 (日)

「家族石」!?

今年の4~9月にかけてのことである。

家族石」という名の暗号が、会社内で流行ったのは。

言い出しっぺはだれだったのだろう?

命名式は、たしか営業&コーディネーター・ミーティングの席。

そして命名者は、たしか営業のオオカミ氏。

おそらくこれから翻訳がはじまる本のタイトルが長くて言いづらいとか、
そんな理由で、「I Want To Take You Higher」というタイトルの本は、
いともあっけなく、「家族石」と命名されてしまった。

それ以降、暗号「家族石」は会社内を飛び交うことになる。

「『家族石』はどんな具合です?」

「『家族石』の訳出、大変そうっす」

「『家族石』? なにそれ?」

さて、「家族石」の正体とは、一体なんでしょう?

60~70年代の洋楽好きな方なら、ピンときたヒトはいるかもしれないですね。

ではこのへんで種明かし。

家族石」とは、アメリカのファンク・ロックバンド、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのこと。

すらいと家族石」というわけです(笑)。

ちなみに原書のタイトル「I Want To Take You Higher」は、彼らが1960年に発表した
『スタンド!(Stand)』に収められている、彼らの代表曲のひとつなのです。

とってもグルーヴィーで、いやがおうにも身体が動き出してしまうこと請けあいの曲ですから、ご興味のあるヒトはよかったら聴いてみてください(私もオオカミ氏に貸していただいたCDをiPodに入れて、仕事中ずっと身体を揺らしていました。←仕事しろよ)。

さて、その「家族石」、訳出開始から刊行までは、大きな「」でごろごろとした、それはそれは険しい道のりでした。でも、詳しいお話は、翻訳者である村上敦夫さんにおゆずりしたいと思います(村上さんのコメントは、この後に続きますので、お見逃しなく)。

また、私がしょっぱなから「」につまずき、急遽、旅の同伴者(チェッカー)となっていただいたのは、岩井木綿子さん(いろいろとご迷惑をおかけしました)。

きびしい旅でしたが、なんとかゴールに辿り着くことができ、現在「家族石」は、

スライ&ザ・ファミリー・ストーンの伝説 人生はサーカス

という楽しげなタイトルで発売中です(ちなみに装丁は71年発表の「暴動(There’s Riot Goin’ On)」を模していて、原書よりカッコイイ感が増しています。しおりにも遊び心がいっぱい!)。

スライのファンの方はもちろん楽しめますし、「ミュージシャンのバイオグラフィーを翻訳してみたい!」という方にもいろいろと勉強になる一冊だと思いますので、ぜひご一読いただければと思います。

(コーディネーター 小澤)

次は、翻訳者の村上敦夫さんのコメントです。

music

4月までで退社する会社で、暇にまかせてネットサーフィンをしていたところ、今回の企画を知り、応募しました。決してものすごく自信があったわけではないのですが、単なる趣味以上に音楽にのめり込んでいて、自身もファンクバンドで活動している私にとって、今回のスライの伝記のお話はまさにストライクゾーンど真ん中でした。といっても私は決してどっぷりファンク漬けの専門家でもマニアでもなく、恥ずかしながら、これまで彼らの作品とは知らずにカヴァーしていた曲もある始末でしたが…。

ですがいざオーディション課題文の訳を始めてみると、独特のスラングから聖書の引用をさらにもじったような歌詞の一節、ネイティブの友人に相談しても「?」と首をひねられるような部分が多々あり、採用される自信はあまりありませんでした。

いざ採用が決まり、頭の部分から順に訳していくのですが、いきなりスライの肉声を収録した序文部分から、頭を抱えました。”The world is a different place now, but it’s the same difference anyway...” ????これは、彼のような境地に達した人ゆえのアフォリズムなのか、はたまた長年にわたるドラッグの影響なのか。ただ読み流すとすっと煙に巻かれたように納得してしまうセリフでも、それを異なる言語で同じ影響力のある一フレーズに落とし込むのは至難の業でした。

それまでのサラリーマン生活をひと段落させて、ジェフ・カリスの文章との格闘の毎日が始まりました。ウッドストック等60年代末から70年代初頭にかけての時代の雰囲気をヴィヴィッドに伝える語り口には惹き込まれ、また音楽に関する「タイトでルーズなグルーヴ」などの表現は、つい「そう、それそれ!」と、ものすごく共感できたり、またどのようにして「チョッパー奏法」が生まれたかという逸話に思わずうなったりしました。その一方で、時折カリス氏の冗長とも思える文体(関係代名詞や分詞構文を長々と連ねる)に、適切な日本語がすぐに浮かばず何時間も、時には翌日まで悩むこともしばしばでした。

訳し終え、そして昼間の仕事にまた復帰した今、伝記の翻訳という機会を、それも他でもないスライ&ザ・ファミリー・ストーンの軌跡を辿るお仕事に携わらせてくださったトランネットの皆様、チェッカー様や監修者の方々、そして何よりも再発見できたスライの素晴らしい音楽に感謝したいです。素敵な、思い出に残る数カ月を過ごすことができました。

(翻訳者 村上敦夫)

|

« エライのは電車? 携帯電話(XXX)? それとも…… | トップページ | オオカミは「匹」か「頭」か »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1146320/31937245

この記事へのトラックバック一覧です: 「家族石」!?:

« エライのは電車? 携帯電話(XXX)? それとも…… | トップページ | オオカミは「匹」か「頭」か »