«     この一冊でキミもスパイ! | トップページ | 躍動し始めた母なる大陸、そしてその未来とは? »

2009年7月14日 (火)

 しらべもの中毒者たち、夢の競演  

                51d3scnrdal__sl500_aa240_

             

      意外な「はじめて」物語』

ガッド&コルティング著 / 伊藤史織 倉橋俊介 舟田恵理子 宮田真一訳

                                                                

ざつがく【雑学】

雑多な物事・方面にわたる、系統立っていない学問・知識。

                  広辞苑第五版より

あれはスギ花粉舞う今年2月後半のこと。

鼻をズルズルいわせながら、私がコーディネートを担当させていただいた本が、このたび晴れて出版されることとなった。

日本語タイトルは『意外な「はじめて」物語』

様々なモノやコトの起源を知ることができる、ジャンルで言えば雑学の本である。

帯に書かれている「スーパー雑学集」の名に恥じず、扱われているジャンルは多岐に渡るのだが、そのほとんどは誰でも知っているような、日常生活に非常になじみの深いモノやコトばかりなので、楽しめること請け合いの一冊である。

特に、以下の方は必読である。

●三度の飯よりも雑学が好きな貴方

●上司との気まずい雰囲気を打破したい貴方

●食卓での会話にお困りの貴方

●クラス、会社のものしり博士を自称する貴方

●好きな女の子に「○○君って、なんでも知ってるよね~」と言われたい、あわよくばさりげないスキンシップも……と妄想する貴方

●好きな男の子に「○○って、あたまいいよなぁ」と言われたい、あわよくば「こんど勉強おしえてくれよ」なんて言われちゃったりなんかして……と妄想する貴方

●伝説の話題上手として、コンパで異性の関心を独り占めしたい貴方

●人間ウィキペディアを目指さんと、つらい旅の途上の貴方

とにかくいろいろなシーンで役にたつ本である。

翻訳は、オーディションで選ばれた4名のみなさんに各項目を割りふり、訳していただいた。

原書はグリーンの小さなペーパーバックで、文字数もそれほどでもなかったので、すっかり油断した。

何事も見た目で判断してはいけないということである。

私は自らの青二才ぶりを強烈に恥じたが、私のちっぽけな自意識などどうでもいい。

その調査の大変なことと言ったら……

「訳者さんたちが大変だあ!」

しかし、そんな私の心配はまったくの杞憂だったようだ。

詳しくはこの後に続く各訳者さんのコメントをお読みいただければわかるが、今回の訳者さんは、全員が真正の「しらべもの中毒者」だったのである! (訳者のみなさん、スミマセン)

どおりで、訳稿につけられた膨大な訳注や申し送りの数々に、「こつこつ」と言うよりは、「ねちねち」と言ったほうがぴったりくるものを感じてしまったわけだ。(訳者のみなさん、どうぞゴカンベンを)

皆さんの飽く無き探究心や知的好奇心には、こう言うしかないだろう。

「あっぱれ!」

さて、私の駄文はこんなところにして、さっそくではあるが、翻訳を担当された4名のみなさんのコメントを以下に紹介しよう。

トップバッターは、「スポーツ」「企業」「社会問題」「ライフスタイル」「性」「メディア」を訳していただいた、伊藤史織さんです!

調べ物マニア・・・

そんな私のチョット変わった嗜好を限りなく満たしてくれた作品、『意外な「はじめて」物語』。いろんなことの「はじめて」を紹介する内容だが、今回は共訳という形でかかわらせていただいた私が担当した部分だけでも「企業」「スポーツ」「ライフスタイル」「性」「社会問題」など、幅広い項目を網羅している。まあ、無駄な文章なんて一切ないと言っていいくらい、さまざまな内容がすっきり、そしてぎっしりと詰め込まれている。

翻訳の分量はそれほど多くなかったのだが、調べ物に時間のかかること。実はこれがミソ。調べ物マニアの血が騒ぐ。もちろん、なかなか調べがつかないものも(刑事みたい!?)。そういうときこそマニア根性の見せどころ。そんな根性を発揮する場面が本書では多々あり、こっちからか? あっちからか? といろんな方面から突っついて調べつつ、ときには遭遇した無関係な情報にひかれて寄り道なんかもしたりして、ふらふらになりながらも存分に楽しんだ。サッカーの残酷な歴史やら、意外なフリスビー誕生の秘話やら。特に「性」の項目では、真面目に語っている原書をこれまた真面目に訳している自分が、何だかおかしくなってしまった。ええ!? 古代ローマでは異性・同性関係なく・・・? 古代エジプトの儀式では王に神聖なパワーを与えるために巫女がこんなことを・・・? どこまで書いてよいのやら、詳しく知りたいとうずうずしてしまう調べ物マニア仲間の方々には、それぞれ調べる課題にしてもらうとして(本書で答えがわかるものもアリ)、とにかくびっくりすることばかりで思わず原書から離れてどんどん調べてしまう。おかげさまで、恥ずかしながら人よりもずっと詳しくなってしまった。一方で、「社会問題」というシリアスな(「性」もいたってシリアスに描かれているのだが)項目もあり、調べ物を進めつつも非常に考えさせられた。きっと、翻訳作業中の私はいろんな表情をしていたことだろう。

この調べ物好きは、翻訳を始めてから気付いた私のラッキーな一面だった。この一面が功を奏して本書の翻訳に携われたのだな、「はじめて」翻訳者選定オーディションで選ばれたのがこの作品だったのは運命的!? なんて、今になって思う。これがまさに、私の『意外な「はじめて」物語』といったところか―。

続きまして、「からだ」「文化」「薬」「旅」「通信・交通」「ファッション」を訳していただいた、倉橋俊介さんです!

子供のころ家にあった雑学の本が大好きで、内容を覚えるほどくり返し読んでいました。そんなことを思い出しながら応募したオーディションで、初めての仕事を頂くことができました。喜びも束の間、送っていただいた原書のコピーの束を見て、本当に自分に出来るのだろうかと不安な気持ちに。本書の翻訳で苦労した点は、トピックの多さに尽きます。1ページにつき1つまたは2つ、計60ほどの項目を担当しましたが、「飼いネコ」や「インターネット」といった身近なものから「コカイン」などあまり関わりたくないものまでジャンルは多岐にわたり、調べ物にかなりの時間を割かれました。それでも、1ページ訳すごとに新しい知識が増えていく楽しみは何物にも代えがたいものでした。きっとどなたにも、お気に入りのトピックが見つかる一冊です。

そして、「TV/映画」「身の回りの技術」「娯楽とゲーム」を訳していただいた、舟田恵理子さんです!

やめられない止まらない

何かの弾みに、私たちが日常的に接しているものの大半が近代の産業革命以降に生まれたものであり、実際、現在私たちが享受している文明社会とは、そんなにも短い期間で作り上げられたものに過ぎないことに気付かされることがあります。今の便利さも安楽さも、現代の私たちとそれほど変わるところのない人々によって考え出され、生み出されてきたことを思うとき、その当事者やそれが生み出された経緯について、多少なりとも興味を持つ瞬間が生まれませんか。

本書は、そんな気分の時にぴったりの豆知識本です。

コルク抜きのような道具からスポーツやTV番組などの娯楽など、さまざまな分野の「発明」や成り立ちが、シンプルにわかりやすくまとめられています。

さて今回、「調べ物が苦にならない人」という条件を見て応募、翻訳の機会を頂いたまではよかったのですが、対象について詳しく知ろうと調査していくうちに、その周辺のエピソードや関連記事をつい追いかけてしまい、肝心の翻訳の方がいっこうに進まないという事態に陥りかけました。実生活では(おそらく)それほど有用でもない(!)トリビア満載の本書は、特に、調べ物にはまりやすい体質の翻訳者にとって危険物と言えるでしょう。

最後は、「暮らしの必須アイテム」「音楽」「フード&ドリンク」「お金」を訳していただいた、宮田真一さんです!

この本の訳者に選んでいただいたのは入会後二度目に受けたオーディションでした。まだ駆け出しのペェペェ(?)だったので、「まさか通るはずないだろう」と油断していたところに声をかけていただき、最初はうれしさよりも驚きと戸惑いを感じたというのが正直なところです。

さて、今回の翻訳にあたっていちばん気を遣ったのは、当然のことながら訳文の読みやすさ、そして正確性の確保という二点でした。「翻訳になじみの薄い中・高校生の読者にも気軽に読んでもらいたい」という出版社様のご意向に沿えるよう、自然で平易な日本語に置き換えるように留意するとともに、原文の内容だけではわかりづらいかも、と思われる部分には、過度になりすぎないよう注意しながら情報を補足しました。この“情報の補足”と“正確性の確保”という点で今回大活躍したのがインターネットと電子百科事典です(ちなみに、わたしが使ったのは平凡社発行の「世界大百科事典第二版」とマイクロソフト「エンカルタ総合大百科2008」の二つでした)。様々な分野にわたるトリビアが凝縮された本なので、事実確認の作業は欠かせません。極端な話、「てにをは」の使い方や、ちょっとした言い回しの違いなどがもとで事実を曲げて伝えてしまうことにもなりかねないからです。そのため、訳出にとりかかる前にまず百科事典とインターネットで複数の文献にあたり、納得できたうえではじめて訳文の作成にとりかかりました(この二つで調べきれないときは図書館に駆け込みました)。そんなこんなで、原文の文章量は決して多くなかったのですが、リサーチ作業に相当の時間を要した、という印象がいまも強く残っています。が、「ハネムーン(honeymoon)の“ハニー”は蜂蜜ではなくビールのこと。その語源は四千年前の古代バビロニアにまで遡る」などなど、訳していながら思わず感心してしまうことがたくさんあって、知識が増えていくのを楽しみながら作業を進めることができました。

みなさん、本当にどうもありがとうございました!!!

(コーディネーター小澤)

|

«     この一冊でキミもスパイ! | トップページ | 躍動し始めた母なる大陸、そしてその未来とは? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1146320/30541262

この記事へのトラックバック一覧です:  しらべもの中毒者たち、夢の競演  :

«     この一冊でキミもスパイ! | トップページ | 躍動し始めた母なる大陸、そしてその未来とは? »